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2024/11/22(Fri) 18:49:34

『ゴースト、お分け致します。』

そう書かれた紙が貼られた廃墟のドアを、叩く者はいない。


[ Ghost Breeder ]


ぎし みし

何色とも呼べない色に変色した絨毯の上を、つやつや黒い革靴を履いた足が歩いてゆく。
朽ちた床板はぎしぎしと不安な叫びを上げているが、そんな事はお構いなしに足は進む。

足の主―黒の服に闇色の外套を着込んだ、癖毛の男―は、ゆっくりと崩れかけた階段を上り、着いた階の突き当たりのドアを開けた。
ドアには、軽く茶けた張り紙があった。

ギィイイイイ…

このドアもまた、今にも崩れ落ちてしまう、と錆びた声を上げた。
男は特に躊躇いも無く、するりと部屋へと入った。
その部屋はどうやら彼の住処らしく、崩れかけた建物の部屋にしては小綺麗だった。
小型の箪笥にぎっしりと本が詰まった本棚、その傍には黒いデスク、窓の近くにはベッド、と質素ながらも
どうやら電気も通っているらしく、彼は壁のスイッチを押し、部屋の照明を点けた。

男は室内だと言うのに黒いコートを脱がず、デスクの上のノートパソコンを開いた。
待機させておいたのか、然程待たずに電源が入る。

電子音と共に、デスクトップに『新着メール:1件』の表示が現れる。
男はそのメールの内容を一瞥すると、満足そうに微笑んだ。
柔らかな微笑みとは違う、どこか影のある笑い方だった。

「貰い手がいましたよ」

低い声でそれだけ呟くと、周囲の家具が一斉に空中を飛び廻りだした。
本は蝶々のように舞い、冷めたコーヒーの入ったカップは独楽のようにくるくると回る。
箪笥はその場でガタガタと飛び跳ね、古い万年筆は虚空に文字を描く。
まるで、おもちゃを与えられて喜ぶ子供のように。

突然起こった異変に驚くことも無く、男はパソコンをシャットダウンし、家具たちに向き合った。
彼は呆れ顔で中空へと話しかける。

「落ち着きなさい。そんなはしゃぎ様では貰い手が呆れてしまいますよ?」

…………。

ぱた、がた ことん がつん ごとん

比較的大人しい音を立てて、家具たちは元あった場所へと戻り出す。
本は順番どおりに並んで本棚へ入り、カップはテーブルへ、万年筆はデスクの上へ、位置がずれた箪笥も元通りに収まった。

そのまま彼は中空に視線を漂わせる。
まるでそこに、常人には見えない存在が在るかのように。

「大人しく寝床に戻っていなさい。必要があったら呼びますからね」

そう虚空に話しかける男。
それに従うかのように、不意に白い霧が現れた。
それらは只の霧ではなく、霧が集い、十数個程度の塊を成していた。
霧の塊は男に従い、す、と空気に溶けて消えた。

「さて、久しぶりのお客様ですか」

 

その言葉に呼応するように、音の外れたインターホンが鳴った。

 

 

 


 

あとがき
…切らずに書き上げようとしたんですけど無理でした(根性無しめ
ちょっと長くなりそうです(汗
多分次で終わります。

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2007/03/25(Sun) 21:40:44
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