哀れ針子は食われてしまった。
食ったのは誰だ、と啼くは肉にありつけなかった獣たち。
仮面だらけの群れの中、針子を心から哀れむものは無い。
--蛇は自らの尾を食い、星は冬の冷気を吸い、花は慈悲を受けて生きるというのに
--何故私は食われねばならなかったのか。
『たまごの内側、辞書の1ページ、宝箱の中、仮面の下
守られるものは弱い。守れぬものは強い。
それが定めというものさ。お嬢ちゃん。
さて、閑話ついでに謎々をひとつふたついかが?
詐欺師と悪魔の騙し合い、どちらが勝っただろうか?
では、剣と万年筆の一騎打ちならば、どちらが勝つだろう?』
--定めが、運命が、決められた糸があるならば、何故、
『考えちゃいけないよ。答は決められちゃあいない。
答は自ずと決まるものさ。分かるかい?』
--嘆くのは嫌、哀れむふりをされるのはもっと厭
--さよなら、飢えたけものたち。
--さよなら、けものになりきれなかった私
『ならば、こちらへおいで』
『なに、ほんの刹那もかからないさ』
『さあ、落ちておいで。夢で兎を追った彼女のようにね』
Pixivの企画に投稿した絵のSS的な何か。
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