DIALOG -手記の記憶- 001

手記の記憶を辿る。

DATA: 001
 
 
（或る青年の日記より）
 

 
 

 

6月17日

今度、いつも遊んでた廃ビルが取り壊しになるらしい。

なんだか寂しい。皆に教えたら、明日にでももう一回行ってみようという案が出た。

本当は今日でも良かったけど、涼と基一がバイトらしく、明日に。

もうしばらく行ってない。もしかしたら不良とかの根城になってそうで少し心配だ。

圭によると、あそこはちょっと前の『コピー内戦』の頃は簡易外科として使われたようだ。

アイツが「案外、不良とかよりも『アレ』に気をつけたほうがよさそうだよな」と言いやがった。

断じて俺はビビってなんかない。でも明日適度にしめとく。

 

数学のテスト無理だった。抜き打ちは卑怯だ！

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6月18日

帰りが8時になっただけでお袋に怒鳴られた。いつもバイトでこれ位になってるのに。

ちょうど帰ってきた親父は「もう子供扱いしてやるな」だと。ざまぁみろ。

 

廃ビル訪問は特に何事もなく終わった。

あっちこっちぼろぼろだし埃まみれだった。時間を感じた

昔描いた落書きが残ってた。アイアイガサとか、見栄張って書いた間違ってるアルファベットとか。

くだらなかったけど、かなり懐かしかった。                       

つっても、小６頃のやつがほとんどだからまだ5年くらいしかたってない。成長したな自分。

 

適当にぶらぶらしてたら、一番端の部屋の引き出しで日記みたいなのを見つけた。

（圭がドラクエごっこしようって言ったのが発端）

紙が相当色あせてる。日付を見たら一番新しいページで8年前のものだった。

ちょっと興味深かったので持ち帰ってきた。…祟られたりしないよな？

 

日記の一人称は「僕」。たぶん男のだ。字は綺麗だけど、ところどころ漢字間違ってる。

まだちょっとしか読んでないけど、内容は例の「コピー内戦」の頃のだ。

 

分厚い日記帳にいっぱい書き込んであって（しかも二冊ある）読むのが大変そうだ。

ところどころ日付が飛んでるけど、まとめて2年ぶん位。

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続きます。
2008 12/2 手直し