創作版権ごった煮カオスなブログ。
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久々の更新ですね(他人事
「貴方に神のご加護を」 《天使》は優しい微笑と暖かな声で、死者の魂を導く 「死ね」 《死神》は冷たい言葉とその大鎌で、迷える魂を裁く どちらにしろ、彼らは死者を連れて行く。 選べ、ヒトの子よ。 迷うか、従うか。 Track01-02 [ Troublesome Task ] 黒髪の青年ギルレイスは、そのまま部屋に戻り、ゆっくりと休むはずだった。 しかし、その1時間後、彼は再び上司の元へ呼び出されていた。 「………………」 「怒るのも仕方ないけど、これは《上》が君に、と言ってるんだからね」 「………………」 眉間に盛大な皺を寄せたギルレイスはただただ恨めしそうな視線を放つだけだ。 「それに、君は数多い者たちの中から選ばれたんだからね。……少しは誇りに思ったらどうだい?仕事がないよりは、あったほうがマシだろう?」 「…………カシギさん」 「ん?」 「殺っていいですか」 「おもしろい冗談だけど、今はそんなことしてる暇は無いよ」 「……寝てないのに……」 「ご愁傷様としか言えないね」 「……」 カシギと呼ばれた男は長い赤毛を軽くかき上げながら、ひとしきり笑った後、 「さて、用件に入ろう」 細めていた碧色の眼を手にしていた書類に落とした。 「次の仕事は、いつも通りの《処分》とは違う。まぁ、簡単に言うと、新人の実習……いや、研修といったところかな」 「新しい死神の?」 「いや、一般課の第二級天使だそうだ」 「第二級?……そんなに新人でもないじゃないですか」 「どうやら、彼女は元々《力》が強かったらしくてね、研修を積む前に昇進させられたそうだ」 「…………なるほど」 「で、彼女は、『《陽》は扱ったことはあるが、《陰》はない』とのことだ。ちょうど良く、というと皮肉かな?先程、潜伏していた《陰》が姿を現したわけだ」 「…………。で?」 「彼女は魂の察知には長けている……らしい。どうやらあちらさんは潜伏が得意なようだから、手伝ってもらいなさい」 「…………面倒くさい……」 「ま、頑張りなさい。詳しくはこっちを見てくれ」 カシギは机越しに腕を伸ばし、ギルレイスに書類の束を手渡す。 書類には共に行動しなければならない天使の登録番号から身体的情報まで、仕事には関わらないようなことまで記されていた。 「武器の所有許可と追跡・処分の許可も出ている。気を引き締めて、ね」 「……睡眠がとれていればもっと引き締められるんですけどね」 「ふふ、帰ってきたら休暇でも取りなさい。取れたところで休めるのは二日程度だろうけど」 「48時間も休めれば十分です。それでは」 「気をつけてね…………ああ、そうそう、」 一礼し、部屋から出て行こうとするギルレイスを、カシギはゆるりと引き止めた。 「なんですか」 「くれぐれも、怖がらせちゃいけないよ。《死神》の『普通』は《天使》にとっての『恐怖』でもあるんだから」 「分かってます」 それだけを言うと、黒い影は部屋から消えた。 扉が閉まり、一人部屋に残ったカシギは小さくひとりごちる。 「さて、今回は無事に終わるのかな…?」 空中へ放たれた、物騒な言葉は、誰の鼓膜を震わすとでもなく消えた。 Track 01-02 Fin Next Track 01-03 [ Noisy Angel ] PR 2007/01/07(Sun) 18:35:55
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